ラット社会行動及び性行動の3次元ビデオ解析システム


富山大学大学院医学薬学研究部(医学)システム情動科学
助教 松本 惇平

精神疾患や性機能障害などの神経メカニズムを調べるために、多くの研究で2匹のげっ歯類間の社会行動や性行動が解析されている。我々は3次元映像を用いて2匹のラットの社会行動・性行動を解析するシステムを新規に開発した。このシステムでは、まず異なる視点に設置された4台の3次元カメラを用いてラットを撮影することで3次元像が得られる。次に得られた3次元像の内部に骨格モデルを当てはめることで、頭部・頚部・胴体・腰部の4部位の3次元位置が推定される。最後にこれらの体部位の軌跡から種々の行動を自動判別する。我々が開発した3次元システムはこれまでの2次元映像を用いたシステムに比べて、リアリングなどの3次元的な動きを解析できる他にも、2匹の重なりに対して安定でマウンティングなどの行動が解析できるという特徴もある。さらに本システムで用いた3次元カメラは安価(1台あたり2万円)でソフトウェアも無料で公開されているため、これまでの2次元ビデオ解析システムと同等またはそれ以下の価格で導入可能である。研究会では本システムの詳細とこのシステムを用いてオス性行動に対する薬物の作用を解析した結果を紹介する。また現在の課題や将来的な応用・発展の可能性についても議論したい。


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