セリンプロテアーゼインヒビターによるアレルギー反応の制御機構

東北医科薬科大学免疫学教室 中村 晃

アレルギー反応の主なエフェクター細胞は、マスト細胞、好塩基球、好酸球である。これらの細胞はヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質や様々なサイトカインを産生するが、この他にもキマーゼやカテプシンなどのセリンプロテアーゼを産生する。これらセリンプロテアーゼは、本来細菌感染に対する防御機構として働くが、過剰な分泌は炎症反応を助長し、組織破壊を引き起こす。一方、生体にはこれらセリンプロテアーゼを特異的に抑制するインヒビターが存在している。SLPI (secretory leukoprotease inhibitor)は代表的なセリンプロテアーゼインヒビターである。当初、気道上皮から単離されたが、マクロファージや樹状細胞、B細胞などの免疫細胞のみならず、ガン細胞にも発現しており、炎症の抑制作用のみならず、抗体のクラススイッチ、癌転移の抑制など、多彩な役割を果たしていることが明らかになってきている。我々は最近になり、SLPIが好塩基球や好酸球にも発現していることを見出した。SLPIに関する最新の知見を紹介するとともに、アレルギー反応におけるSLPIの役割について述べたい。


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