オキシトシンの分娩・射乳における分泌動態と生理的役割


樋口 隆
福井医科大学第二生理学講座 教授


 オキシトシンは下垂体後葉から分泌されて,子宮の収縮と射乳を引き起こすホルモンです。ラットでは,分娩が開始されてから血中のオキシトシン濃度が上昇します。骨盤神経を切断したラットでは,分娩が困難になりますが,その原因はオキシトシン分泌の減少によるのではなく,胎児を排出させるために重要な息みの反射が消失するためであることが分かりました。分娩の際にはオキシトシンの分泌量の増加より,子宮のオキシトシン受容体数の増加が重要であることを,オキシトシン受容体mRNAのRTPCRの結果から紹介します。また射乳反射の際にはオキシトシンが一過性に血中に増加します。
 このオキシトシンの分泌は,左右の視床下部の室傍核と視索上核にまとまって存在するオキシトシン神経が,同期して高頻度で約1−4秒間発火するために生じます。このオキシトシン神経の同期した高頻度発火が発生するメカニズムについても紹介しようと思います。

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