「ICHの成果を踏まえた医薬品の安全性試験法」


小野薬品工業株式会社

福井安全性研究所

米澤秀利


 最近、国際化という言葉をよく耳にします。医薬品についても例外ではなく、国際化、即ち日本だけでなく世界で通用する医薬品の開発が急務とされています。良い薬を、より早く、世界中の患者さんへの提供を図るため、承認審査資料の国際的ハーモナイゼーション推進の目的で1991年から日本・EU・米3極の医薬品規制ハモナイゼーション国際会議ICH(Intemational Conference on Harmonization)が組織されました。ここでは医薬品の品質・安全性・有効性の3分野で活動が行われています。安全性試験については、今までガイドラインの違いにより海外で実施された試験データが国内での申請に使用出来ないケースが数多く見られ、同じ様な試験を繰り返し実施する場合がありました。特に、生殖毒性試験については、日本と欧米の科学者の考え方の違いもあり、試験の方法が異なっておりました。
 しかし、ICHの成果により、既に単回投与試験、反復投与試験、生殖毒性試験、変異原性試験(特定項目)、癌原性試験(用量選択、試験が必要な場合)およぴこれらの毒性試験における全身曝露の評価(トキシコキネティクス)については、一部の点を除いてほぼ3極の合意がなされ、ガイドラインあるいはガイダンスとして厚生省から通知されています。  一方、観察項目などの詳細については、日・米・欧での取り決めはありません。
 今回、この様な状況を踏まえて医薬品の安全性試験法について、ご紹介させて頂きます。


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