北陸実験動物研究会趣意書

動物実験は生命科学の主要な研究手段でありますが、実験動物あるいは動物実験に関する研究は比較的浅いものです。簡単に振り返りますと、日本では昭和26年、安東、田嶋ら動物実験のユーザーに端を発した実験動物の近代化運動に始まります。劣悪な状態にあった動物実験を改善するため、動物実験や実験動物に関する実験動物研究会(現、(社) 日本実験動物学会)が組織され、動物実験のユーザー以外に様々な分野からの研究者の参加がありました。実験動物研究会では、遺伝、微生物、栄養、環境など実験成績に影響するさまざまな要因の解明が行われ、また実験動物についての生物学的特性の研究も行われてきました。この過程で実験動物学という新しい学問分野が生まれ、体系化されてきました。そして実験成績に影響する要因をコントロールするための飼育管理技術が確立され、その結果、動物実験は飛躍的に精度の高いものになりました。今日では、動物実験を取り巻く飼育施設、飼料、飼育管理技術などマウス、ラットにおいてはすでに確立されたという見方もあります。しかしながら、最近のバイオメディカルサイエンスの急速な発展に伴い、その主要な研究手段である動物実験もより一層レベルの高いものが求められております。遺伝子導入モデル動物や実験動物の比較生物学的研究など、検討すべき問題は多く、実験動物学のさらなる発展が期待されているところです。また、最近、動物福祉に対する関心の社会的な高まりの中で、動物実験は科学的であることに加えて倫理的であることが強く求められております。

このような状況の中で、より適正な動物実験のためには、実験動物そのものの研究・開発、ならびに生産や実験の場で飼育管理に携わる方々、動物を使って医学研究に携わる方々の一層の緊密な連携が必要なことは申すまでもありません。実験動物に関する全国的な組織として、日本実験動物学会や日本実験動物技術者協会がありますが、両者の間には交流はほとんど無いのが現状です。より身近な地域の研究会を通して研究者、技術者が交流し、また地域の事情、特殊性を考慮し、現場に即した技術、研究成果、情報などお互いに検討し、活用していくことは意義あることと考えます。このような趣旨からこのたび北陸実験動物研究会の発会をする運びとなりました。

北陸実験動物研究会では、動物実験ならびに実験動物に関する技術、研究、情報交換の場として、年数回の研究会、総会を予定しております。

北陸実験動物研究会の趣旨に賛同のうえ、ぜひとも本会に参加いただき、北陸地区の動物実験の向上のためにご尽力下さいますようお願い申し上げます。

             発起人一同(順不同)

               早川純一郎(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               小泉 勤(福井医科大学医学部附属動物実験施設)
               山本 博(富山医科薬科大学動物実験センター)
               橋本憲佳(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               中村政美(富山医科薬科大学動物実験センター)
               本多登美夫(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               栗山政彦(富山医科薬科大学動物実験センター)
               加藤秀次(福井医科大学医学部附属動物実験施設)
               山崎彰久(三協ラボサービス)
               多賀たか子(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               西 勝栄(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               清水友子(富山医科薬科大学動物実験センター)
               池田利之(北陸文教株式会社)
               鷺直由季子(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               前田秀之(福井医科大学医学部附属動物実験施設)
               内本 淳(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               池田 茂(有限会社 北陸実験動物)
               中村恒夫(金沢大学医学部解剖学第二教室)
               笠井夏子(北陸文教株式会社)
               津田政儀(金沢大学医学部附属動物実験施設)
               高柳比登司(三協ラボサービス)
                  


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