細胞ストレスおよび炎症可視化モデルマウスの開発とその性能金沢医大・総合医学研究所 岩脇隆夫ストレスというと多くの人は精神的なものを連想するが、我々の体を構成する細胞も内的および外的要因から発生する様々なストレスに曝されている。その細胞レベルで感じとられるストレスには酸化ストレスや低酸素ストレスなどがよく研究されており、色々な疾患や老化などとの関連性について注目が集まっている。これまで我々は小胞体ストレスを中心に研究を行ってきた。これも細胞レベルで感じとられるストレスの一つで、先のストレスと同様に色々な疾患との関連性について盛んに研究され、近年ではガンや炎症で小胞体ストレス応答反応が高まることが報告されつつある。このような背景から「動物個体レベルでの細胞ストレス研究」に注目が集まるようになり、我々はストレスの可視化という側面から研究を展開してきた。初めに取り組んだのは、IRE1によるXBP1のスプライシング反応を利用して蛍光または発光レポータータンパク質を発現させるシステムの開発である。このシステムを導入した遺伝子組換えマウスを用いることで、生体レベルでの小胞体ストレスをレポーター活性として検出することができるようになり、膵臓で生じる生理的な小胞体ストレスや発生過程の胎盤で生じる小胞体ストレスを明らかにしてきた。また最近は小胞体ストレス以外の細胞ストレスの可視化技術にも取り組んでおり、2012年に酸化ストレス、昨年は炎症の可視化モデルマウスの作出に成功した。現在も異なる細胞ストレスや生体防御反応を検出できるモデルマウスの開発を続けている。本セミナーでは、これら生体イメージング用モデルマウスの開発に関わる詳細や利用価値などについて共同研究先のデータもまじえながら紹介したい。 <参考文献>
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