話題提供:金沢大学における実験動物飼育のための施設認定について


橋本憲佳
金沢大学学際科学実験センター遺伝子改変動物分野


   我が国における動物実験の規制は,米国同様研究機関での自主規制方式を採用し,これを法律で縛るのではなく,行政指導を主体として担保するという独自の規制方式となっている。このことは研究機関毎の柔軟な対応が可能な反面,具体的な統一基準がないために,研究機関の間に温度差が生じやすくなる。そのために,国内外から自主管理の実態が見え難いという批判もある。一方,今年は「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正が予定されており,研究機関における自主規制の問題点も争点となっている。また,日本学術会議は,「動物実験に対する社会的理解を促進するために(提言)」(平成16年7月15日)の中で,国内統一ガイドラインの制定と自主管理評価のための第三者評価機関の設立を提言した。このような状況の中で,金沢大学では,医学・生命科学系部局のキャンパス分散化に伴い,昨夏,宝町地区動物実験指針を拡充し,実験動物飼育施設認定を新たに定めた「金沢大学動物実験指針」を制定した。
 施設認定基準の骨子は,以下の三点となっているが,本講演ではその概要とここに至る学内外の経緯について紹介したい。
  1. 動物実験の科学的かつ倫理的実施を担保するための最小限度の条件の提示
  2. 施設の設備面と運用面(マニュアル化)の条件を提示
  3. 猶予措置としての既存飼育室暫定運用のための指導


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