動物実験等に関わる飼養保管施設及び実験室の設置と運用に関する細則

(趣旨)
第1条 この細則は,金沢大学動物実験規程第5条第10項の規定に基づき,動物実験等に関わる飼養保管施設及び実験室(以下,施設等という)の設置と運用に関し必要な事項を定める。
2 この細則に掲げる設置要件は,動物実験等の科学的再現性を確保するとともに,倫理的にも適正な動物実験等を実施するための必要最小限の条件を示すものである。管理者は,動物実験等の精度及び実験動物の福祉向上を図るため,必要に応じて施設等の改善に努めること。

(飼養保管施設の構造・設備等)
第2条 動物実験等のために設置する飼養保管施設の構造・設備は,次に掲げる要件を満たすこと。
(1) 飼育室は,常時ドアで仕切られた動物実験専用の個室であり,動物が逸走しない構造と強度を有していること。
(2) 哺乳類・鳥類を飼育する場合にあっては,窓を開けることなく常に換気し,夏期最高温度28℃程度,冬期最低温度18℃程度を限度として室温を維持し,適切な湿度及び明るさを保つことができること。
(3) 爬虫類を飼育する場合にあっては,ケージ内温度が飼育する動物種における一般的な生活温度を大きく外れることがないこと。
(4) 魚類・両生類を飼養する場合にあっては,水槽内の水温が,飼育する動物における一般的な生活温度を大きく外れることがないこと。
(5) 床や内壁等は,清掃・消毒が容易な構造であり,動物種や飼養保管数に応じた衛生設備を有すること。
(6) 季節変動が予想される実験を行う場合にあっては,飼育室内を無窓として照明の自動制御を行えること。それ以外の場合であっても制御することが望ましいこと。
(7) 飼養保管数や飼養する動物の習性等に応じた構造の飼育設備・ケージ等を備えていること。
(8) 遺伝子組換え動物の飼育においては,金沢大学遺伝子組換え実験安全規程に定められた表示及び逸走防止対策が講じられていること。
(9) 飼養保管施設内の実験室は第3条に定める要件を満たしたものであること(魚類・両生類のみを取り扱う場合を除く)。
(10) 必要に応じて,臭気・騒音・動物残渣(死体,汚物,汚物の付着した床敷等)等による周辺環境への悪影響を防止する設備が備えられていること。
(11) その他,物理的・化学的に危険な材料・設備,病原微生物を取り扱う実験を行う場合の飼育設備については,各々の安全規程等に定められた措置が講じられていること。

(実験室の構造・設備等)
第3条 実験動物を飼養保管施設外で動物実験等(48時間以内の一時保管を含む)に供するために設置する実験室は,次に掲げる要件を満たすこと。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有していること。ただし,遺伝子組換え動物を取り扱う 場合においては,金沢大学遺伝子組換え実験安全規程に定められた措置を講じること。
(2) 清掃・消毒等の衛生管理が容易な構造であること。
(3) 適切な室温管理等,実験処置及び一時保管中における動物の健康維持のための設備が備えられていること。
(4) 必要に応じて,臭気・騒音・動物残渣等による周辺環境への悪影響を防止する設備が備えられていること。

(運用)
第4条 管理者は,飼養保管施設の運用及び利用に関する標準業務手順書(以下,マニュアルという)を定めて利用する者へ周知するとともに,施設等の適正な運用及び利用を図ること。
2 魚類・両生類のみを飼養又は保管する場合を除き,実験動物管理者が配置されていること。
3 施設等のドアは,人の出入りのために一時的に開ける場合を除き,常時閉めておくこと。
4 複数の研究室等が利用する場合(利用形態が「研究室専用」以外の施設)は,入室者の記録を行うこと。
5 動物の習性等に応じて適切に飼育室を振り分けるとともに,飼育ケージには,その大きさに応じた適正な匹数を収容すること。
6 ケージ交換,給餌給水等の飼育管理を適切に行うこと。
7 室内の衛生管理(床・棚・作業台の清掃と消毒,飼育器材の洗浄と汚物の処理等)を適切に行うとともに,受入れ動物の微生物学的品質を記録し,必要に応じて微生物検査を行う等,感染事故の防止と汚染状況の把握に努めること。
8 室内を整理・整頓し,実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境を維持すること。
9 動物残渣の保管・廃棄を適切に行い,周辺環境への悪影響の防止を図ること。

(標準業務手順書)
第5条 前条第1項のマニュアルは,前条に規定された事項の具体的数値(1ケージ当たり収容匹数,ケージ交換回数等)を含め,施設の運用方法,利用方法と利用者の遵守事項を定めたものとする。
2 マニュアルは,A4版,様式は任意とし,次に掲げる事項を参考に,飼養保管施設の規模と利用対象者に応じて,適切に運用できるよう作成すること。
(1) 利用のための手続き方法や管理者への報告事項
(2) 利用者への告知事項(飼育可能な動物の情報等,施設の利用範囲や飼育環境の制御情報,施設側で一括供給する物品の情報や動物を持ち出す場合の注意事項等)
(3) 入退室手順や作業動線と利用の制限
(4) 利用記録簿への記帳
(5) 動物搬入の手順や制限等(微生物学的品質,検疫方法等を含む)
(6) 飼育管理方法(環境順化,ケージ交換・給餌給水等)
(7) 衛生管理方法(ケージ洗浄・室内の清掃手順,微生物モニタリング)
(8) 動物残渣の処分方法
(9) 特殊な実験を行う場合の手順と安全対策
(10) その他,飼養保管施設の運用に必要な事項

(記録の保存と報告)
第6条 実験動物管理者,動物実験実施者,飼養者は,飼養保管施設の適正な利用と感染事故等の不測の事態の防止を図るため,飼養保管施設の利用,動物受入れ時の衛生状態,動物の受入数・生産数や飼育数等の飼育管理状況を記録し,管理者の求めに応じてこれを提示しなければならない。
2 管理者は,前項の飼養保管施設利用状況・動物受入状況等の記録を保管するとともに定期的に統計をとり,所定の様式により,毎年次,学長に報告しなければならない。

(手続き)
第7条 飼養保管施設を設置しようとするときは,管理者が予め飼養保管施設設置申請書にマニュアル1部を添えて学長に申請すること。ただし,魚類・両生類のみの飼養保管施設を設置しようとする時は,実験動物管理者の選任は不要とし,飼養保管施設設置届出書にて学長に届出るものとする。
2 第3条に規定した実験室を設置しようとするときは,管理者が予め飼養保管施設外実験室設置申請書により学長に申請すること。
3 学長は,実験動物のための飼養保管施設については,動物実験委員会が書類審査及び実地に確認した後,実験室については書類審査し必要に応じて実地に確認した後に,設置承認の可否を決定する。
4 実験動物のための飼養保管施設の管理者は,飼養保管施設利用状況報告書を毎年4月末日までに学長に提出すること。
5 学長は,飼養保管施設の諸記録の提示を求め,あるいは施設等の運用状況を実地に調査させ,必要に応じて改善を指導し,さらに承認を取り消し,あるいは施設等の廃止を決定することができる。
6 管理者は,研究科長,専攻長,学部長,学科長,領域長,研究所長,センター長等,所属部局における施設等及び実験動物の管理に責任を有する者とし,研究室主任(分野長等)を含まない。
7 管理者又は実験動物管理者の交代,設備等の造作,運用方法の変更等,設置申請(届出)書及びマニュアルの記載事項に変更がある場合は,直ちに届け出るものとする。

(雑則)
第8条 設置申請,届出及び年次報告の様式は,別に定める。

附 則
1 この細則は,平成19年4月1日から施行する。
2 実験動物飼育施設認定基準は廃止する。ただし,実験動物飼育施設認定基準により認定済の施設については,施行後6ヶ月以内に再度申請又は届出るものとする。
附 則
この細則は,平成22年8月9日から施行する。


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