遺伝子改変動物学セミナーのお知らせ 「大腸癌のマウスモデル；基礎研究から化学予防へ」 "Mouse models of colon cancer; from basic research to chemoprevention" 武藤　誠　教授 Prof. Makoto M. TAKETO （京都大学大学院医学研究科　遺伝薬理学） 日時：2002年6月4日（火）17時00分より 場所：医学部基礎第２講義室（基礎棟1階） 　武藤誠先生は，京都大学ウイルス研究所の石浜研究室で医学博士を取得されたあと，14年間アメリカで哺乳類の発生生物学・遺伝学の分野で活躍され，マウス遺伝学のメッカJackson研究所で研究室を運営されました。1992年に日本に戻られてからは，大腸癌のマウスモデルを開発され，APC遺伝子ノックアウト（KO）マウスが家族性大腸ポリープ症（FAP）のモデルとなり(1)，そのポリープ形成にCOX-2が重要な働きをしていることを発見されました(2)。更に，TGF-βのシグナルを制御するSmad4 (3)や，Apcと同様にWntシグナルを制御するβ-catenin (4)，及びアラキドン酸代謝においてCOX-2により産生されるPGE2の受容体(5)などのKOマウスとAPCのKOマウスを組み合わせることにより，ポリープ形成や腸癌の悪性化の分子機構をたいへん見事に解明されています。これらの研究に興味のある方はもちろん，遺伝子改変動物を巧みに用いた研究戦略は非常にエレガントであり，必見のセミナーです。また，武藤先生は金沢の御出身で1967年に金大附属高校を御卒業になっています。 (1) Oshima, M. et al.: PNAS 92: 4482-4486, 1995. (2) Oshima, M. et al.: Cell 87: 803-809, 1996. (3) Takaku, K. et al.: Cell 92: 645-656, 1998. (4) Harada, N. et al.: EMBO J. 18: 5931-5942, 1999. (5) Sonoshita, M. et al.: Nat.Med. 7: 1048-1051, 2001. 連絡先：医学系研究科遺伝子改変動物学　浅野雅秀 TEL: 076-265-2460,　E-mail: asano@kiea.m.kanazawa-u.ac.jp