大学院講義:Up-to-dateセミナー
(遺伝子改変動物学セミナー)

「サルES細胞の樹立から先端医学研究へ」

鳥居 隆三 先生

(滋賀医科大学・動物生命科学研究センター 教授)

日時:1月25日(木)17時00分より

場所:医学部A棟講義室(旧薬学講堂)

約10年前からサル類を微生物学的、遺伝学的に統御することを目的に自家供給体制の整備を進めてきた。その中で室内での計画的な繁殖を行うため体外受精法、顕微授精法等の発生工学的手法と胚移植法の開発を進めた結果、我が国では最初の体外受精サルと世界では2例目の顕微授精サルの誕生に成功し基本的な方法を確立できた。一方、1998年ヒトでES細胞の樹立の報告がなされ、再生医学研究が脚光を浴びるようになった。そこで受精胚の体外培養法を試み高率に胚盤胞期胚を作成できた結果、田辺製薬、京大、近大との共同研究において2000年カニクイザルとニホンザルのES細胞株の樹立に成功した。今回は、このES細胞の樹立の意義、さらに現在行っているサルES細胞のヒト再生医学研究に向けた基礎的、応用的研究を紹介する。とくに、サルES細胞から各種機能細胞への分化・誘導研究、遺伝子改変個体作成を目的としたES細胞への遺伝子導入、移植後の細胞追跡方法、さらに拒絶反応のない細胞移植を目指したクローン胚作成等、最近の研究内容を紹介したい。

鳥居先生は我が国における霊長類の生殖工学の第一人者です。ヒトES細胞とマウスES細胞はかなり性質が異なるので、ES細胞を用いた再生医療を実現するためには、サルES細胞を用いた基礎研究が不可欠です。このセミナーではその辺の最新のお話をしていただく予定ですので、多くの方の参加をお待ちしております。なお、医学系研究科の専攻共通科目「Up-to dateセミナー」として単位認定(0.2単位)を行います。

連絡先:学際科学実験センター遺伝子改変動物分野 浅野雅秀
TEL: 076-265-2460, E-mail: asano@kiea.m.kanazawa-u.ac.jp
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