第9回生命工学トレーニングコースセミナー

「変異マウス作製における発生および生殖工学技術支援」

中尾 和貴 先生

(理化学研究所 発生再生科学総合研究センター・研究員)

日時:11月14日(水)17時00分より

場所:学際科学実験センターアイソトープ総合研究施設 1階会議室

 TgおよびKOマウスを作製し様々な研究に用いることは、現在多くの研究者たちが日常的に行っている。10年ほど前までは、KOマウスを作製することは極めて困難な作業であったが,最近では、過去の困難な作業を通して得られた経験と知識や、最新の設備や道具によって、飛躍的に作製効率は上がっている。このような状況の中で変異マウスの作製および維持生産するための、生殖工学技術の利用も飛躍的に高まってきている。例えば、80年代では、個々の研究者達が管理しているにすぎなかった、系統保存のための凍結受精卵子の数も、バイオリソースセンター等の公的なバンクの出現も手伝って、ここ数年で急速に増加している。しかし、発生工学技術の進歩と比較して生殖工学技術の進歩は、不十分であると思われる。その原因の一つとして、生殖工学技術を十分に習熟するための施設や機関がわずかしかなく、それらの習得を希望しても、その機会が与えられることがほとんどない現状がある。我々神戸理研変異マウス開発では、変異マウスの作製を主たる業務として行っており、これまで多くの変異マウスを開発作製してきた。この大規模な変異マウス作製には、それらを支えることになる生殖工学支援が必要不可欠であるが、その活動内容について紹介することはほとんどなかった。そこで、今回は我々が行っている変異マウス作製のみならず生産、維持等に伴う生殖工学技術支援を紹介したい。

 中尾先生は,勝木元也先生のもとで遺伝子改変マウスの作出に長年携わってこられ,現在は神戸理研での発生工学及び生殖工学部門を一手に引受けておられます。現場の第一線で活躍されており,最先端のお話が伺えると期待しています。

連絡先:学際科学実験センター遺伝子改変動物分野 浅野雅秀
TEL: 076-265-2460, E-mail: asano@kiea.m.kanazawa-u.ac.jp

本セミナーは,Up-to-dateーセミナー(脳医科学専攻)です