第11回生命工学トレーニングコースセミナー
「ENUミュータジェネシスを利用した標的遺伝子変異ラットの作製方法」
真下 知士 先生
(京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設・准教授)
日時:11月12日(水)17時00分より
場所:学際科学実験センターアイソトープ総合研究施設 1階会議室
ENUミュータジェネシスは、化学変異原であるエチルニトロソウレア(ENU)を用いてDNAに遺伝子変異を起こし、突然変異体(ミュータント)を人為的に作製する方法である。古くからマウス、メダカ、ショウジョウバエ、線虫、シロイヌナズナなどさまざまな生物に利用されてきた。特に、遺伝子改変技術が未だ確立されていない生物においては、多数のミュータント群の中から、目的の遺伝子に突然変異を有する個体をDNAスクリーニングにより選抜することで、標的遺伝子変異動物を作製することが可能となる。
ラットは、繁殖が容易で、適度な体の大きさ、適応能力の高さなどから実験動物として広く利用されている。ENUミュータジェネシスを利用すれば、これまではラットでは不可能であったヒト疾患の原因遺伝子を標的とした疾患モデル動物の開発が可能となる。我々は、多数のミュータント群を効果的にスクリーニングする技術として、トランスポゾンMuとDNAプーリング法を組み合わせたMuT-POWER法を開発した。また、顕微授精法により凍結精子から変異個体を復元することに成功している。本セミナーでは、ENUミュータジェネシスを利用した標的遺伝子変異ラットの作製方法について詳しく解説する。
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