第13回生命工学トレーニングコースセミナー
「実験動物における顕微授精技術の応用」
越後貫おごぬき 成美 先生
(理研バイオリソースセンター・遺伝工学基礎技術室)
日時:11月11日(水)17時00分より
場所:学際科学実験センターアイソトープ総合研究施設 1階会議室
近年、顕微授精技術の発展により運動能のない精子や未成熟精子(精細胞)にも産仔作出能があることが明らかになった。これにより今まで高齢あるいは体内・体外受精関連の情報が乏しい等さまざまな理由で繁殖や体外受精を諦めざるを得なかった場合でも顕微授精技術により胚・産仔の作出が可能となった。また生殖補助技術としてだけではなく、研究・技術開発にも幅広く対応できるきわめて魅力的な技術でもある。実際に顕微授精を行うにあたり、使用する動物種や精細胞の状態・ステージ等を考慮して最善のプロトコールを選抜する必要がある。本セミナーではマウスでの実験を中心に顕微授精を行う上での重要なポイントや応用例、今後の展望について述べたいと思う。なお,脳医科学専攻up-to-dateセミナーとして単位認定をします。
- Ogonuki et al. A high-speed congenic strategy using first-wave male germ cells. PLoS One. 2009;4(3):e4943
顕微授精を用いて約半年でB6背景にすることが可能な方法を開発。
- Ogonuki et al. Spermatozoa and spermatids retrieved from frozen reproductive organs or frozen whole bodies of male mice can produce normal offspring. Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Aug 29;103(35):13098-103.
15年間-20℃で凍っていた精子より顕微授精により産仔を得ることに成功。
- Ogonuki et al. Early death of mice cloned from somatic cells. Nat Genet. 2002 Mar;30(3):253-4.
体細胞クローンマウスを作製し、寿命が通常のマウスより短いことを明らかにした。
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