大学院講義:脳医科学専攻Up-to-dateセミナー

(遺伝子改変動物学セミナー)

「顕微授精と核移植クローン
─顕微下で胚を作る技術─」

小倉 淳郎 先生

(理化学研究所バイオリソースセンター)

日時:1月21日(木)17時00分より

場所:医学類F棟1階修士セミナー室

生殖細胞(卵子・精子)あるいは体細胞を用いた顕微操作技術の進歩によって,さまざまな特殊な二倍体胚を顕微鏡の下で構築することができるようになった。これらの技術は,生命の始まりとしての全能性を明らかにし,胚・個体発生に関わる複雑な細胞生理学的・分子学的機構を解析する手段として極めて大きな価値を持つ。その典型的な技術が顕微授精と体細胞核移植クローンであり,いずれも未受精卵子を用いて顕微操作により前核期胚を作出する方法である。

成熟精子を用いる顕微授精(ICSI)は,比較的安定的に産子を得ることができるが,より高度化した技術である精細胞(未成熟精子)を用いた顕微授精や体細胞核移植クローンにおいては,出生効率が著しく低下する。これは必要とされる技術レベルの問題もさることながら,用いる細胞の生物学的な要因,すなわちジェネティック,エピジェネティックそして細胞生化学的性質が関与している。これらの要因は生殖・発生生物学研究の興味深い対象であるとともに,応用面においては克服すべき障害となっている。特に体細胞核移植クローンは,最初の成体細胞由来のクローン動物ドリーの誕生から10年以上が経過しているにもかかわらず,確かな技術的ブレークスルーの開発に至っておらず,相変わらず数パーセント以下の効率にとどまっている。

本セミナーでは,実験動物,特にマウスにおける顕微授精と核移植クローン研究の成果について解説し,生殖細胞や体細胞から新しい生命が誕生するしくみについて興味を持って頂けるよう話をしたい。

尚,本セミナーは医学系研究科脳医科学専攻の「Up-to dateセミナー」として単位認定(0.2単位)を行います。

連絡先:学際科学実験センター遺伝子改変動物分野 浅野雅秀
TEL: 076-265-2460, E-mail: asano@kiea.m.kanazawa-u.ac.jp
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