第18回生命工学トレーニングコースセミナー
「染色体工学技術を用いたヒト化モデル動物の作製とその応用」
香月康宏 先生
(鳥取大学・大学院医学系研究科/染色体工学研究センター)
日時:11月30日(水)17時00分より
場所:学際科学実験センターアイソトープ総合研究施設 1階会議室
トランスジェニック技術は遺伝子を破壊または導入し,その表現型を解析することにより,これらの遺伝子がどのような機能を持つかを知る上で非常に重要な技術となっている。しかし,クローン化DNA断片を使用するこれまでのトランスジェニック技術では,細菌人工染色体(BAC)を用いても導入可能なDNAは通常200kbが限界であり,それを超える大きさを持つ遺伝子や遺伝子クラスターの導入は不可能であった。 これらの問題を解決するために,巨大なヒト遺伝子,複数のヒト遺伝子を比較的安定な形で導入可能である微小核細胞融合法を用いて,単一ヒト染色体あるいはその断片をマウス胚性幹 (ES) 細胞へ導入し,そのES細胞からキメラマウスを作製することにより,10Mb以上の機能的なヒト染色体断片を保持するマウスの作製,子孫への伝播が可能となった。 さらに,特定のヒト染色体領域をマウス個体内でも安定に保持し,安定な子孫への伝達が可能なマウスを作製することを目的として,染色体改変技術を利用したヒト人工染色体(human artificial chromosome:HAC)構築技術の開発を行ってきた。本セミナーにおいては,染色体工学技術を用いたヒト化モデル動物の作製とその応用について紹介する。
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