実験動物研究施設講演会のお知らせ

(大学院講義:脳医科学Up-to-dateセミナー)

3.11東日本大震災報告---動物実験施設の被害と対応

笠井 憲雪 先生

(東北大学大学院医学系研究科附属動物実験施設)

日時:1月12日(木)17時00分より

場所:医学類G棟第4講義室

主催:学際科学実験センター実験動物研究施設
後援:金沢大学動物実験委員会

3月11日東日本大震災では震度6強の揺れに、東北大学は人命も含め大きな被害を受けた。建物や設備等の被害総額は800億円とも言われている。当施設の2カ所(中央棟5200uと臨床分室1000u)の飼育施設では午後2時46分震災直後の揺れが収まった後、施設職員は実験中の研究者学生へ、早急に建物外へ脱出するよう飼育室や実験室へ呼びかけ、脱出した。幸い負傷者等はいなかった。

翌日から被害調査を行ったが、施設内の実験室・手術室は顕微鏡の落下や酸素ボンベの床面での滑走など大きな被害を受けた。しかし、動物の被害は、マウスやラットの簡易飼育棚2台が転倒し、また自動給水装置の不具合からマウス約80匹の死亡が確認されただけで、他の約240台は多少の移動はあったが転倒しなかった。そして、犬やブタなど大型の動物も含め動物の被害は極めて軽微であった。これは最近10年以上にわたる飼育装置の耐震補強の結果である。

しかし、停止したインフラのうち、暖房とオートクレーブに使用しているガスの復旧には2か月を要すると報道された。このため、暖房はもとより器材等の滅菌ができなくなった。そこでSPFを守るために飼育室のケージ交換は停止し、入室を制限し、そしてマウス・ラットの3割削減を研究者に要請し、実施した。一方、食料等の入手が困難になったため、業務の遂行には施設職員35名の生活維持にも配慮する必要があった。全国各地からの食料等の支援物資を用いて昼食や朝夕食の炊き出しを行なった。他にも実験動物関係機関等から滅菌床敷き等、多くのご援助をいただいた。この場をお借りして感謝申し上げたい。


笠井先生は動物実験施設長として、施設に泊まり込んで復旧作業の陣頭指揮を執られました。その時の貴重な経験をお話いただけますので,教員や大学院生だけでなく事務部の方も含め多くの方の参加をお待ちしています。

尚,本セミナーは医学系研究科脳医科学専攻の「Up-to dateセミナー」として単位認定(0.2単位)を行います。

連絡先:学際科学実験センター遺伝子改変動物分野 浅野雅秀
TEL: 076-265-2460, E-mail: asano@kiea.m.kanazawa-u.ac.jp
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