大学院講義:脳医科学専攻Up-to-dateセミナー

(遺伝子改変動物学セミナー)

次世代実験動物としての遺伝子改変マーモセット

佐々木 えりか 先生

(慶應義塾大学先導研究センター/
実験動物中央研究所応用発生学研究センター)

日時:11月28日(木)17時30分より

場所:アイソトープ総合研究施設会議室

疾患や生理学的メカニズムを分子レベルで解明するために遺伝子改変マウスが果たしてきた役割は極めて大きい。しかしながらヒトとげっ歯類では脳神経機能、代謝経路、薬物感受性などの遺伝的・生理的な差異は大きく、特に医学・薬学研究ではマウスとヒトとの間の差異を埋めるため霊長類を用いた研究が重要となる。

コモンマーモセット(マーモセット)は、ブラジル北東部原産の小型の霊長類であり、生理学的、解剖学的にヒトに類似し、繁殖能力が高いため、複数頭を使用した繰り返し実験が可能な霊長類の実験動物として、新薬開発、先端医療開発における前臨床研究に有用である。

これまでマーモセットを用いたヒト疾患モデルとしては外科的手法、薬物誘導による作出法に限られていたが、遺伝子改変技術によるモデル作製が可能になれば、より多くの研究領域で精度の高い前臨床研究が可能となる。遺伝子改変動物を作出するためには、配偶子の採取、体外受精、培養といった発生工学技術が重要であるが、マーモセットの発生工学研究は殆ど行われていなかった。そこで我々は、マーモセットの繁殖生理学的特性に適し、動物実験の3Rに配慮したマーモセットの発生工学技術およびレンチウイルスベクターによる遺伝子改変マーモセット作出法を確立した。この方法は、高効率であり、導入遺伝子の次世代への伝達率が高いものの、8kb以上の遺伝子の導入が困難であること、標的遺伝子を破壊したノックアウト動物が作製できないことの2つデメリットがある。これらの問題点を克服すべく、現在、我々が取り組んでいる課題についても紹介する。

尚,本セミナーは医学系研究科脳医科学専攻の「Up-to dateセミナー」として単位認定(0.2単位)を行います。

連絡先:学際科学実験センター遺伝子改変動物分野 浅野雅秀
TEL: 076-265-2460, E-mail: asano@kiea.m.kanazawa-u.ac.jp
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