高次生命機能における糖鎖の役割

 

 タンパク質や脂質に結合した糖鎖は,様々な生物学的役割を果たしていると言われており,特に細胞表面の糖鎖は細胞間相互作用に重要であると考えられているが,それを直接的に証明した研究は少ない。私たちは糖転移酵素遺伝子やシアル酸合成酵素遺伝子のノックアウトマウスを作製することにより,それぞれの糖鎖の役割を個体レベルで解析しようとしている。特に7つの遺伝子からなるβ4-ガラクトース転移酵素β4GalT-1~7)遺伝子群については、β4GalT-1, 2, 5のノックアウトマウスを作製し,その解析を進めている。また,β4GalT-1 KOマウスがIgA腎症のモデルとなることや,DMRV患者と同じ点変異をGNE遺伝子に導入したマウスを開発して,疾患モデルの研究も行っている。

シアル酸合成酵素(GNE)遺伝子の解析

(a) GNE遺伝子点変異と縁取り空胞型遠位型ミオパティー(DMRV)

(b) シアル酸欠損と腎疾患

(c) シアル酸欠損と高次脳機能

「空間認知機能を測定するための水迷路課題」

「物体再認に基づく記憶機能の測定」

β4GalT遺伝子群の解析

(a) セレクチンとそのリガンド糖鎖を介した炎症反応制御

(b) 皮膚創傷治癒での糖鎖の役割

(c) 糖鎖不全とIgA腎症

(d) 高次認知機能,脳機能における糖鎖の役割

(e) 発生過程における糖鎖の役割